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石巻・川の上プロジェクト 第二期

石巻・川の上プロジェクト 第二期
石巻・川の上プロジェクトは「まちを耕し、ひとを育む」という理念を掲げ活動している。約400世帯が住む川の上地区は防災集団移転により沿岸部から約400世帯が移り住む計画である。異なるバックグラウンドをもつ人たちが一緒になるため、新旧の住民が親睦を深める場が求められていた。
川の上プロジェクトは、住民同士が交流を深める場として、まちづくり勉強会と懇親会を兼ねた「イシノマキ・カワノカミ大学」を実施していたが、ハードな場の必要性から、
第1期工事として2015年に「川の上・百俵館」がつくられた。農協が精米や搾油していた倉庫を改築し子どもも大人も誰でもいつでも本を読み、学び、地域の未来に向けて語り合い、気軽にお茶っこが楽しめる公共の場を提供している。百俵館はカフェやイベントスペースなどとして機能していた一方、夏休みなど学生の自習の場としての機能が不足していた。
 
第2期工事の本プロジェクトでは、百俵館の向かいに位置する元書庫を改装して大人も子どもも学ぶことができる「耕人館」と自由に走り回ることができる「たねもみ広場」をこの場を実際に使う住民を巻き込みながら、企画・設計を行った。「耕人館」では主に学習塾が開かれるほか、週末にはマルシェの会場になったり、地域の集会所になったりもする。
 
木造2階建てではあるが、元々書庫ということもあり、梁の断面は大きかったので一部天井は剥がし、広々とした空間を取れるようにした。また、壁一面を黒板とすることで、複数人で同時に書いたり、板書を取って置いたりと、大きさに縛られることなく、使うことができるようにした。
 
入り口近くは大きなテーブルとを設置し、奥に行くほど大きくなる仕切りを設置した。
仕切りによりできた一番奥の席は、座った時に視線を遮ることができ一人で集中することができる。
その隣の席から徐々に視線も少し通り、横の席とも浅い仕切りになっており、隣の人と適宜教えあったり会話しながら作業することができるようになっている。入り口側は、大判の模造紙を広げてのワークショップやたくさんの資料を広げられる大きなテーブルとなっている。ひとつの大きなテーブルに1人での勉強から2人、大人数までのエリアをつくることで、自分の学習特性に合わせた環境を選ぶことができるようになっている。
 

学生の学習机は、調べ学習などにも対応できるように大きめの天板とし、椅子は背もたれが直角に近いものを採用することで、背中を預けないようなものを採用した。椅子の生地は彩りを持たせることでいつも使う自分の椅子(場所)を持ってもらい、場所に愛着を持ってもらえるようにした。また、空間を広く使うイベントにも対応できるようにテーブルも椅子もスタッキングできるように設計した。学習環境ということで、照明は真鍮の見切りの中に仕込まれたLEDの間接照明をメインとし光源を隠している。また、縁側も新たに設置し、広場と内部空間をつなげる場をつくり、それに合わせて広場側に新たに大きな開口を設置することで外から中を、中から外を見ることができるようにした。

住所:宮城県石巻市小船越山畑343-1字
期間:設計2017年7月~11月、工事2018年2月~4月
面積:200.00m2
用途:集会所・学習塾
施主:石巻・川の上プロジェクト
共働:スタジオテラ、ONO BRAND DESIGN、山下匡紀
施工:(株)三浦造園土木、三浦富雄、ボランティア
家具:天童木工
参考:石巻・川の上プロジェクト
 
 
Location:Ishinomaki-Shi, Miyagi-Ken, Japan
Period:July-November2017, February-April2018
Site Area:200.00m2
Client:Ishinomaki kawanokami Project
Design partner:studio terra, ONO BRAND DESIGN, Noriyuki Yamashita
Construction:Tomio Miura, Miura Zouen, Volunteer
Furniture:Tendo Mokko
 
GOOD DESOGN AWARD BEST100
 SPECIAL AWARD FROM THE CHAIRMAN OF JDP / 復興デザイン賞
http://www.g-mark.org/award/describe/43266
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